「なぜ、恋をして来なかったんだろう?」はどんな曲?
「なぜ、恋をして来なかったんだろう?」は櫻坂46の1stシングル『Nobody’s fault』に収録されています。
藤吉夏鈴さんがセンターを務めている曲で、初めての恋に浮かれている女性の姿を描いたものです。
ヒモに絡めとられる独特なダンスも特徴的です。
今回は、
■「私」はもともとどんな性格?
■この曲の本当のテーマは?
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目次
初めての恋に浮かれる「私」
ちょっとくらい浮かれちゃったって
気づけばスキップしていたって
思い出し笑いとかしちゃっても、、、
だって 初めて彼氏ができちゃって
なんだか フワフワしてきちゃって
心ここになくなっちゃうでしょう
何言われたって 全然気にならない
微笑み返してあげる
幸せは敵作らない
出だしから「私」は初めての彼氏にフワフワと浮かれています。
本人は「ちょっとくらい浮かれちゃったって」と言っていますが、スキップや思い出し笑いはかなり浮かれています。
もしかしたら、その様子は周りの人から見ても、気になる様子なのかもしれません。
中には嫉妬して悪口などを言ってくる人もいるのでしょう。しかし「私」は気にもかけません。なぜなら「私」は今「幸せ」だからです。
180度変わってしまった「私」の性格
今までずっと バカにしてた
だってどいつもこいつも I LOVE YOU!って
まるで 盛りのついた猫だ
でも恋をしてみてわかったんだ
人は何のために生きるのか?
巡り会って 愛し合って 無になって
自分じゃない ホントの自分 見つけたい
これまでの「私」はむしろ、「恋」やそれに浮かれている人に対して攻撃的な態度でした。「どいつもこいつも」「盛りのついた猫」とは、かなり激しい表現ですね。
ですが「恋」をする当事者になってみると、「人は何のために生きるのか?」という、人間としての存在意義を見つけたようにさえ感じています。
人間の存在意義とは、大切な誰かに巡り会って、愛し合い、一度自分の価値観などを全てリセットした上で「ホントの自分」に辿り着くことだと「私」は考えているようです。
「無になって」という表現が独特な考え方ですが、イモムシがサナギの中で一度、全て溶けてリセットされてから蝶へと姿を変えるイメージでしょうか。
「恋」に対する「私」の考え方が180度変わっているところを見ると、あながち間違っていないのかもしれません。
さすがに浮かれすぎでは・・・?
スマホの写真見せるとか
恋バナばかり語っちゃうとか、、、
そんなバカップルを呪ってたのに
楽しいなって思えてきて
お揃いの指輪(リング)したりして、、、
もうすぐクリスマス バレンタインデーもあるし
誕生日はどういうプラン?
幸せは自慢したいもの
「私」はこれまで「バカップル」だと馬鹿にしてきた行動を全てやってしまうようになっています。
人前でのイチャイチャや、お揃いの指輪は可愛いものとしても、スマホの写真を見せたり、恋バナばかり語るというのは、恐らく求められてもいないのに、友達などに対してやってしまっているのでしょう。それは、苦言を呈したり、悪態をついてくる友達がいても仕方ないかもしれません。
「私」の浮かれっぷりが最高に表れているのが、その次の2行です。
「もうすぐクリスマス」ということは今はまだ、11月か12月のはじめでしょう。それなのに次の瞬間には「バレンタイン」まで妄想が飛んでいます。まだ2ヶ月も先の話です。その前に初詣や豆まきも2人で楽しんで欲しいものです。
更には「誕生日はどういうプラン?」と今からワクワクしています。このぶっ飛びペースからすると、誕生日は4月や5月かもしれません。さすがに気が早すぎます。
しかも「どういうプラン?」とは恐らく「私」の誕生日に何をしてくれるのかしら?と期待しているのだと思います。
クリスマスもまだの時に、数ヶ月先の誕生日プランまで考えている男性はほとんどいないでしょう。
「私」の常識を越えた浮かれっぷりをたった2行で表しているこの歌詞の威力は凄まじいですね。
「幸せは自慢したいもの」とは言っても、こんなぶっ飛び妄想を何度も聞かされる友達の呆れ顔が目に浮かぶようです。
この曲の本当のテーマとは?
近頃 私 盛り上がり中
だってこんな楽しい ラブストーリー
ドラマとか 見てる場合じゃない
もっと 早く気づけばよかったわ
恋は主人公になるべきよ
ドキドキして ハラハラして キュンとして、、、
迷っている人たちよ
すぐに告白しちゃいなさい
そばで見ている観客より
見つめ合って 抱き合って キスをしましょう
幸せは 参加すること
「盛り上がり中」と表現するには「私」の浮かれ具合は度が過ぎていますが、人生で初めて経験なので、それもまた仕方のないことでしょう。
「すぐに告白しちゃいなさい」と周りにけしかけるのは、告白すれば全ての人が上手くいくような前提で話していて、さすがに現実的ではありません。ですが、ここにこそ、この歌の大事なテーマが隠れているように感じます。
そのテーマとは「誰かを批判するのは観客の立場の人間であり、当事者になってみないと見えないことがある」ということです。
この歌の最初から散りばめられている
恋をしてみて分かったんだ 人は何のために生きるのか
幸せは自慢したいもの
恋は主人公になるべきよ
幸せは参加すること
などのフレーズを抜き出すと、このテーマがより分かりやすくなります。
「私」はこれまで「恋」を自慢している人たちに対して攻撃的な態度をとってきていました。
ですが、その「恋」の当事者になってみて初めて「幸せは自慢したいもの」という心境も理解できました。それどころか、恐らく「観客」として見ていては一生気づけなかった様々な価値観に気づき、生まれ変わったかのような体験をしたのでしょう。
この「当事者のことを理解できず攻撃してしまう観客」という構図は、世の中の様々なところに見られると思います。
櫻坂46というグループや、メンバーを批判する人にも言えます。
浅い理解のまま、表面だけを見て叩く人は論外ですが、「自分は結成当初からのファンだ」という人だって、当事者ではありません。表には出ていない様々な葛藤を味わう立場になったら、同じような言葉は出てこなくなるでしょう。
世の中、どんなに頑張っている人に対しても批判する人というのが出てきます。その人は「当事者」ではありません。だって、極端な話、「当事者」とは、本人以外はなり得ないのですから。
それと同時に、苛烈な攻撃をしてくる人というのは、幸せを知らないのでしょう。だって「幸せは敵作らない」のですから。
外側の安全地帯から石を投げつけるのではなく、怖くても足を踏み入れて「参加」してみて欲しいものです。
その先には、今までの自分とは180度違った世界が広がっているかもしれません。
最後に
いかがでしょうか?
長文をお読みくださり、ありがとうございます。
最後の「本当のテーマ」は深読みだとは思いつつ、ただただ浮かれているだけに見える歌詞の中に、これまでの欅坂46や櫻坂46に通底する反骨精神のようなものが感じられるのが面白くて書いてみました。
様々な批判も受けてきた欅坂46からの歴史を踏まえると、また違った見方が出来る一曲かもしれません。
そう考えると、MVも世間からの「批判」というヒモに絡めとられながら、幸せのパワーで吹き飛ばすという演出に見えますね。
ぜひ、ご感想やご意見もお待ちしています。
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