2021.10.13発売の櫻坂46の3rdシングル「流れ弾」のカップリング曲でBACKSメンバーの楽曲である「ソニア」が9.26のラジオ「櫻坂46 こちら有楽町星空放送局」で初公開されました!この時点ではセンターも振り付けも分からない事だらけでした。
そして、2021.10.29【1st TOUR 2021】で、初めて「ソニア」が披露され、センターは小池美波さんだと分かりました。
ここでは歌詞を全文紹介しながら、
■「僕」は誰?「話者」の視点の謎・・・
■「今日」は何の日?
■「ある時」とは?・・・「ママ」は既に亡くなってしまっている?
などについて考えていきたいと思います。
ぜひ最後までお読みください。
歌詞の全体像を確認!
まずは、歌詞の全てを載せてみます。長いので、先を読みたい時は目次から飛んでください。(2021.10.13 CD発売時 最終修正)
ある時 僕に教えてくれた
幼い頃の秘密の話
ママがつけてたリップスティックが
世界で一番 欲しかったってこと・・・Ah
大人になったら くれるだろうって
自分なりにわかっていたけど
それは見る度 小さくなって
なくなりそうだった
だから ある日 バッグから
そっと それを盗み出し
一人のバスルームに
鍵かけたんだろう?
それで ソニア ソニア ソニア
自分で塗ってみたのかい?
どんな ソニア ソニア ソニア
鏡に映っていたの?
唇からはみ出したのは
届かない背丈のせい
だけど ソニア ソニア ソニア
いつもよりも
キレイだった
【2番】
ずっと机に隠してたこと
ママはきっと知ってたと思う
だけどそれでも叱られなくて
ちょっと不安だった
やがて時は過ぎ去って
好きな人ができた頃
自分が似合う色を
探すようになった
そんな ソニア ソニア ソニア
いろいろ塗って来たけれど
今日は ソニア ソニア ソニア
一人で決められない
今までとはイメージの違う
大人っぽいものもいい
だから ソニア ソニア ソニア
一番 素敵な
自分になりたい Wow…
それで ソニア ソニア ソニア
自分で塗ってみたのかい?
どんな ソニア ソニア ソニア
鏡に映っていたの?
だって ソニア ソニア ソニア
何度も恋をする度に
違う ソニア ソニア ソニア
表情 変わって行く
リップスティックってあの日からずっと
描き続けたダイアリー
今日も ソニア ソニア ソニア
今日の気分は
何色にしよう
「ソニア」とは人の名前?それとも・・・
幼い頃の秘密の話
ママがつけてたリップスティックが
世界で一番 欲しかったってこと・・・Ah
この歌は、ある女性が「僕」に幼い頃、母親のリップスティックを内緒で使っていたことを語り出すところから始まっています。
この「僕」の存在もあとで考察しますが、まずは印象的なサビの部分で繰り返される「ソニア」という言葉について考えてみましょう。
ソフィア – Wikipediaで調べると
とあり、女性の名前などに使われる言葉ということが分かります。
主人公は女の子であり、他に呼び方も出てこないことから、この女の子の名前が「ソニア」だろうという解釈は妥当だと言えます。
「ソニア」が出てくるサビの部分だけ、文として分かりやすいように、ソニアは一度だけにして抜き出して、助詞をつけてみます。
どんな ソニア(が)鏡に映っていたの?
唇からはみ出したのは 届かない背丈のせい
だけど ソニア、いつもよりも キレイだった
このように「僕」が呼びかけている文章として考えると「ソニア」は「君」の名前でも違和感はありません。
しかし、2番の歌詞を同じように見てみるとどうでしょうか?
今日は ソニア(でも?)一人で決められない
今までとはイメージの違う 大人っぽいものもいい
だから ソニア (は)一番 素敵な 自分になりたい Wow…
補った助詞につい「?」をつけてしまいましたが、どんな言葉を補っても、なんだか違和感の残る日本語になってしまいます。
ここで、「ソニア」という言葉のもう一案に触れてみます。それは有名な化粧品ブランドである「ソニア リキエル ボーテ」の口紅という、「リップスティック」そのものを指すという考え方です。
そう考えると、
今日は ソニア(を)一人で決められない
今までとはイメージの違う 大人っぽいものもいい
だから ソニア(で)一番 素敵な 自分になりたい Wow…
と言う風に、簡潔で自然な文が出来上がります。
こちらが正解か?と思っていると、最後のサビが出てきます。
どんな ソニア(が)鏡に映っていたの?
だって ソニア(で?)何度も恋をする度に
違う ソニア(で)表情 変わって行く
リップスティックってあの日からずっと
描き続けたダイアリー
今日も ソニア(で)今日の気分は 何色にしよう
・・・どうでしょうか?
とりあえず「リップスティック」そのものを表している路線で言葉を補ってみましたが、ところどころ不自然になります。最初の2つなどは、やはり「ソニア」という女性に呼びかけていると考えた方が色々な物語が深まります。
結論「ソニア」とは?
ここまでの流れを追うと、「ソニア」とは、この主人公である女性の名前であるとともに、この「リップスティック」そのものも指している言葉だと考えられます。
そして、【1番】は「ソニア」という女性を、【2番】は「ソニア」というリップスティックを、ラストのサビは文脈に応じてどちらの意味も響かせていると考えると、味わい深い歌詞になってくると感じます。
みなさんも、自分なりに良い情景の浮かぶ言葉を補ってみてくださいね。
「僕」は誰?
幼い頃の秘密の話
もう一度この曲の歌い出しを見てみると、この歌は「僕」に女性(「君」と呼びます)
が幼い頃の話をしている形で始まります。
この「僕」と「君」は一体どのような関係なのでしょうか?思い出話を語る相手として第一に浮かぶのは「恋人」か「父」ではないでしょうか?
この歌の場合、どちらでしょうか?
前半は「恋人」に語っていると考えても通りそうですが、【2番】以降の歌詞では、
■何度も恋をする度に
という表現が出てきます。
この「僕」が恋人だとすると、「君」は「僕」に別の相手との恋の話を語っていることになり、不自然さを感じます。
一方で「父」だと考えれば、娘が色々な恋を経ながら、大人へと成長していく姿を見守るストーリーとなり、自然に読めるでしょう。
ここでは「僕」を「父」だと捉えて読んでいきます。
「話者」の視点の謎
普通の物語であれば、話者は基本的に「僕」なので、「君」の幼い頃の話は伝聞形で語られるか、回想シーンからは話者が「君」に変わって、直接の形で語られるかに統一されます。
ですが、この歌では色々なところで、話者の視点が混ざり合っています。
大人になったら くれるだろうって
自分なりにわかっていたけど
それは見る度 小さくなって
なくなりそうだった
だから ある日 バッグから
そっと それを盗み出し
一人のバスルームに
鍵かけたんだろう?
例えば、この部分では「自分なりにわかっていたけど」と「君」の心の中まで語っているため、話者は「君」のように見えますが、最後は「鍵掛けたんだろう」と「君」の行動の理由が「推測」で語られています。
また、
それで ソニア ソニア ソニア
自分で塗ってみたのかい?
どんな ソニア ソニア ソニア
鏡に映っていたの?
唇からはみ出したのは
届かない背丈のせい
だけど ソニア ソニア ソニア
いつもよりも
キレイだった
この部分も前半部分は、その話を聞いた「父」が「自分で塗ってみたのかい?」などと問いかけているように見えます。ですが、その直後の部分は「君」目線の思い出や「いつもよりも綺麗だった」と当時の「君」の感動が語られています。この統一感のなさは何なのでしょうか?
ずっと見守ってきた「父」
この視点の混ざり合いは、娘が「秘密」の思い出話を語っている形態をとりながらも、その実、父はずっとそれを知っていて見守っていたために起こっていると考えられます。
先ほど問題にした、
大人になったら くれるだろうって
自分なりにわかっていたけど
それは見る度 小さくなって
なくなりそうだった
だから ある日 バッグから
そっと それを盗み出し
一人のバスルームに
鍵かけたんだろう?
という部分も、
娘が語っている当時の心情も、そっと盗みだしたことも、バスルームで鍵を掛けてしまい、一人でおめかししているのも「父」は全てお見通しで、微笑みながら見守っており、娘本人だけが気づかれていないと思っていたのではないでしょうか?
次の、
唇からはみ出したのは
届かない背丈のせい
だけど ソニア ソニア ソニア
いつもよりも
キレイだった
という部分も、娘自身の言葉とも捉えられますが、「父」も、不格好に口紅がはみ出てしまった娘の顔を見ていて、笑いながらも、知らないふりをしたのかもしれません。「綺麗だった」という感想も、見守る「父」の想いとして捉えられます。
そんな「隠しているつもりでも全てバレバレ」な幼少期から、好きな人ができて、何度も恋をして、大人になっていく娘と父の心温まるストーリーが、この視点の重なりから見えてくるような気がします。
「今日」は何の日?
いろいろ塗って来たけれど
今日は ソニア ソニア ソニア
一人で決められない
今までとはイメージの違う
大人っぽいものもいい
だから ソニア ソニア ソニア
一番 素敵な
自分になりたい Wow…
回想シーンはこの直前までで終わり、場面が「今日」になります。
大きくなるにつれて、自分でリップの色も選び、塗ってきた「君」ですが、「今日は」「一人で決められない」と、いつもと違う特別な「今日」を感じさせます。
「大人っぽい」「一番素敵な自分」という表現から浮かぶのは、「成人式」や「結婚式」など、人生の節目の行事です。
この「話者」が「父」だと考えると、一番特別な意味をもつのは自分から巣立っていく「結婚式」ではないでしょうか?
「父」との別れとも言える日に、「リップ」の色を選んでもらうという「絆」を確認して二人の物語は一つの節目を迎えるのかもしれません。
「ある時」とは?もう一段階深読みしてみると・・・
ここまでで、この歌の基本的なストーリーは整理できたと思いますが、ここからはもう一段深読みをしてみます。
注目ポイントは曲の出だしの「ある時」です。
「ある時」という言い方から考えると、「今日」とは別の日に語ってくれた思い出話を振り返っているという流れに読めます。
では、「ある時」とはどんな時なんでしょうか?
言い方を変えれば、娘が父にこんな思い出話をする時とはどんな時でしょう?
なぜ母親にではないのでしょうか?
こういった話題は大人になって母に打ち明ける方が盛り上がれそうに思います。
その視点で歌詞を見返すと一つのフレーズが目につきます。
ママはきっと知ってたと思う
・・・・・・「知ってたと思う」・・・。
・・・「知ってた」
・・・過去形?
いや、昔の思い出話だから変ではないのですが、「ママ」に聞いてみたりはしないのでしょうか?
もう何が言いたいのか、わかってもらえると思いますが、この現在に「ママ」の影は見えません。
必ずしも絶対ではありませんが、「娘が父に母の思い出話を語る」とまとめると、「故人の思い出」というイメージが出てきます。
深読みを承知で言えば、もう「ママ」は亡くなっているのではないでしょうか?
どのタイミングかは分かりませんが、「やがて時は過ぎ去って」の数年分の時間の中のどこかだと考えられます。
こう考えると、
描き続けたダイアリー
という表現は「ママ」の形見とも言えるリップスティックと一緒に毎日一緒に成長してきたこれまでの年月が感じられます。
「ソニア」という語も、「君」自身の名前と、形見として「ママ」の象徴でもある「リップスティック」の2つが重なるとすると、より色々な想いが感じられます。
「ママ」という語も、「君」がそう呼んでいたのと、「僕」も妻をそう呼んでいたのとが重なって想像されます。
さらに言えば、このストーリーでは「今日」は「結婚式」だけでなく「母の命日」「母が亡くなった歳になる誕生日」など他の日も考えられるかもしれません。
このように「亡き母(妻)」の思い出話と、そこからまた時間が経った結婚式などの「特別な日」と考えると様々な言葉が重なり合って深みが出てきます。
もちろん、あえて悲しいストーリーにしなくても、「父と娘」のほのぼのストーリーでも充分良い歌だと思います。
ここでは、深読みを承知であえてもう一段踏み込んだ読みを考えてみました。
最後に
いかがでしょうか?
3rdシングルの4曲目を考察してみました。
最初は直感のストーリーからそれほど大きく違った読みは出てこないだろうと思っていましたが、じっくり歌詞と向き合うと意外な発見があり、自分でも驚いています。
解釈の正解は一つではないので、ハッピーストーリーも寂しげなストーリーもどちらも味わい深いと思います。
みなさんはどんなストーリーを想像しますか?
あっという間に次は、「美しきNervous」が解禁です!
本当に3rdシングルの発売が楽しみですね!
長くなりましたがお読みくださりありがとうございました。
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