櫻坂46 歌詞 解釈

櫻坂46「桜月」の深い歌詞の意味を考察!〜本当に「美しい散り方」に必要なものとは?~

櫻坂46の転換点ともなる曲

2023.1.25にyoutubeで「桜月」のMVが公開されました。
5thシングル『桜月』は2.15にリリースされ、この「桜月」はその表題曲です。
センターは守屋麗奈さんが初めて選ばれました。

歌詞は、高校卒業を機に東京へと行ってしまう恋人の「君」を引き止められずに見送る「僕」の切なさを描いています。

「僕のジレンマ」や「ずっと 春だったらなあ」と似たストーリー性を感じますね。

ここでは

■どんなストーリーの曲?
■「桜」や「散り方」は何を表しているのか?
■グループのストーリーに当てはめてみると?

を中心に考えていきます。

ぜひ最後までお読みください。

MVはここから見られます↓

歌の流れを追いながら全体のストーリーを考察

1番 「君」に想いを伝えられない「僕」

【1番】
こんなに誰かを好きになったこと 今までなかった そんな気がするんだ
自分が傷つくことより 君を傷つけたくないって 思い込んでしまった
最終のバスを待ってる間 そのタイミングは何度あっただろう
寒さも感じないくらい 僕たちは向き合ってたのに・・・
“もしも” なんて何の意味もない

ああ 卒業式まであと何日? その日から何が変わるって言うんだろう?
ただ通う場所が変わるだけで 新しい友達が増えるだけで
まだ 大切な何かを 残したまま 大人と呼ばれてしまう

君を想う桜 風に吹かれて 心の中を舞い上がる
せめてもう少し満開でいてくれたなら・・・
どんな好きでいても 季節は過ぎて あっと言う間に散り行くもの
あの日は 桜月
トュルルル トュル トュルルル トュル ルルル
トュルルル トュル トュルルル トュル ルルル

1番は自分の想いを伝えられない「僕」の様子から始まります。
想いを伝えられない理由として【自分よりも「君」を傷つけたくないと「思い込んでしまった」】と描かれています。
「思い込む」には「強くそう思う」という意味もありますが、ここでは「本当は違うのに、そうだと思う」という意味の方に見えます。
本当は「僕」自身が傷つくのが怖くて、言い出せないのをそのように正当化しているのではないでしょうか。
この言い訳のように見える歌詞は2番でも見られます。

「最終のバス」は、「君」から東京行きの決意を聞いた日に、遅い時間まで2人で過ごした帰りのバスでしょう。バスを待つ長い間、引き止めるチャンスは何度もあったのに「僕」はとうとう言い出せないままです。

「もしも なんて何の意味もない」という歌詞は「ずっと 春だったらなあ」の

大学なんてどこでも いいじゃないかって言って
僕が止めたら 君はどう答えたかな?
もしもの話さ

という歌詞を彷彿とさせます。どちらの歌でも、「僕」は引き止められずにいます。

卒業式を数日後に控えて、もう時間はありません。

サビでは「君を想う桜」が「心の中を舞い上がる」と「僕」の激しい葛藤が描かれます。
「君を想う」とは「君を好き」という気持ちと「君を大切に想う(から言えない)」という両方を表現しているのではないでしょうか。

「せめてもう少し満開でいてくれたなら」という歌詞も「ずっと 春だったらなあ」の「もっともっと春が長けりゃなあ」という歌詞に通じます。「僕」と「君」は付き合ってからそれほど長くは経っていないのでしょう。
桜の盛りが短いように、2人の関係もあっという間に終わりを迎えてしまいます

「桜月」はタイトルにもなっていますが、旧暦の3月を表す言葉で、季節的には今の4月頃にあたります
「春は出会いと別れの季節」などと言われますが、ちょうどその時期ですね。
また、個人的には「桜月」は「桜月夜」もイメージさせ、君と別れた帰りに「僕」が桜と月を切なげに眺めている映像も浮かびます。

2番 更なる葛藤と未練

僕が今ここで夢を語るのは そう 他の言葉 口に出しそうで・・・
愛とは身勝手なボール 投げれば自分だけは楽になる そんなことできない
東京へ旅立つ決意を聞いて 君のその背中を押したくなった
いつの日か笑顔の嘘 あれでよかったと思えるだろう 甘酸っぱい青春

何 カッコつけてんだろうって もう一人の自分が呆れてるけど
せめて そう君を思い出した時 そんな美しい恋だったと
独りよがりでもいいから 見送った僕を褒めてあげたい

2番と1番は時間的には、ほぼ重なると思いますが、より一層「僕」の内面に焦点を当てています。
 「君」が夢を語るのに合わせて、「僕」の方も夢を語ります。そうでもしないと、思わず引き止めてしまいそうだからです。
それは「身勝手な」行動であり、自分のことしか考えていない行動だとして「僕」は自制します。
 その後も引き止めない理由付けと、正当化が様々にされていますが、それに「僕」自身が納得していないことは、更に後の未練がましい描写から読み取れます。

2サビ 潔くありたいが、未練が残る

ずっと咲き続ける花がないように こうしていられないのなら
どうやってキレイに散ればいいか考えたんだ
空に舞い上がって ただひらひらと 何度も思い出せるように
名残惜しく ゆっくり落ちて行け


そっと気づかれないように 僕は瞼を閉じながら
君のその声 耳を傾け 記憶の中 残そうとした

「僕」は、自分勝手に未練がましく「君」を引き止めるよりも、笑顔で見送るという「キレイ」な散り方を選びました。

 その上で切り換えて、一人未来に向かって堂々と進んでいけるのならば、その選択も一つの正解なのかもしれません

 しかし「何度も思い出せるように 名残惜しく ゆっくり落ちて行け」や「君のその声 耳を傾け 記憶の中 残そうとした」という描写からは、とてもそのような未来は見えてきません。

「君」が東京へ行った後

暗い夜空の先 確かに今も 満開の桜が見える
あの花は僕が大好きだった人だ
大人になって 夢や理想が思うようにならなくなっても
あんなに美しい散り方ができたらな

今まで「桜」=「僕」だったのが、この部分から「桜」=「君」と大きく変わります。
※メロディも大きく変わっていますね。

「君」が東京に行ってしまってから、時間が経っても「僕」の記憶には「君」のことがしっかりと刻まれています。
「暗い夜空の先」とあるので、実際の桜ではなく、想像上の桜でしょう。(時間もしばらく経っているので、実際の桜は散ってしまっているはずです。)
「あの花は僕が大好きだった人だ」と過去形にはなっていますが、別れてからも常に「君」の姿を思い出してしまう中で、「僕」は今更ながら引き止めなかった選択を後悔しているのではないでしょうか。
 それはラスサビ直前の「あんなに美しい散り方ができたらな」という言葉に集約されています。

 僕が目指した「キレイ」な散り方が成功していれば、この嘆きは出てこないハズです。
前半では「桜」=「僕」の想いや散り方だったのが、この最後の部分では、突然「桜」=「君」となり、一気に理想的なものとして位置づけられます

 この転換と「僕」と「君」の差にこそ、この歌のテーマが隠されていると考えられます。
その点について考えてみましょう。

「僕」と「君」の決定的な違い

「僕」と「君」の決定的な違いとは一体何なのでしょうか?

それは「僕」が「散り方」に焦点を当ててしまったことだと思います。

考えてみれば当たり前ですが、桜自身は「キレイに散ろう」などと考えません。全力で生き、その中で時期が来れば散っているだけです。

これを人間に当てはめるなら、「美しい散り方」というのはそれを追い求めた結果ではなく、全力で日々を生きていく中で迎えた終わりが、別れた相手の心に鮮明に残ることをいうのではないでしょうか。
それはまさに夢を一心に追い求めた「君」の方の生き方に重なります

一方の「僕」は「散り方」を気にするあまり、本心を押し隠し、悔いの残る選択をしてしまいました。

「僕」がそのことに気づいたのは、別れてからの「あんなに美しい散り方ができたらな」という部分だと思います。
別れ際に何か特別なことをしたわけではない「君」の「散り方」がこんなに心に残るというのは【全力で生きる生き方こそが散り方の美しさを決める】という真理を表しているのでしょう。

最後の「泣くな 桜月」がその真理に気づいた涙だとすれば、これからの「僕」は、いつどのように散っても悔いのない生き方ができるでしょう。

最後に 櫻坂46の現在と絡めて 

最初にも書きましたが、この歌は「僕のジレンマ」「ずっと 春だったらなあ」から続いて、旅立つ人を引き止められないというストーリーになっています。
キャプテンである菅井友香さんも昨年11月に卒業されるなど、多くのメンバーが卒業していく寂しさが、この歌詞からも感じられます。

考察の中では「未練がましい」「もっと全力で引き止めるべき」という論調で書きましたが、「君」を卒業するメンバー、「僕」をファンだと考えると、「未練」も「葛藤」も全て仕方のないことのように思えてきます

ですが、やはり様々に菅井さんをはじめ、美しく卒業していった方々は、その卒業の瞬間だけでなく、それまでの生き方が全力だったからこその美しさでしょう。

そういった意味では、今回の歌のテーマにも沿っているかと思います。

寂しさを抱えつつも、新たに入ってくる3期生もとても楽しみで、ますます魅力的なグループになっていくと思います。

最後の方はただの雑感でした。

長くなりましたが、ここまでお読みくださりありがとうございました!

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