「1人でも独りじゃない」と勇気をくれる曲
「思ったよりも寂しくない」は、櫻坂46の2ndシングル『BAN』のTYPE-Dに収録されています。センターは山﨑天さんで、一人でも寂しくないと勇気をくれる曲です。
MVもライブの振り付けも、メンバー同士の楽しそうな掛け合いが印象的な曲です。
この曲はストーリーよりも、メッセージ重視の曲です。
見出しの「1人でも独りじゃない」という表現は、メンバーの大沼晶保さんが、MV公開直後に書いた2021.4.4のブログのタイトルです。
この曲のテーマを表すのに、これ以上ないフレーズだと思ったので、引用させていただきました。
今回は、そんな曲のテーマである
というメッセージの詳細を、歌詞に沿って読み解いていきたいと思います。
まだ、曲を知らない方は、こちらから聴いてみてください。
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目次
歌詞に沿ってストーリーをチェック
いつも孤独を感じていた少女
私のことなんて誰もきっと
興味ないと思ってた
だからちょっとだけ切った髪に
気づいてくれて嬉しかった
愛っていうのは目に見えないけど
ふとした瞬間(とき)感じるもの
風が通り過ぎる時
花の香りがするように
後で
主人公の「私」は、多くの人がそうであるように、常日頃から孤独感を抱いていたことが最初に示されます。
ですが、ある時、自分の周りにある「愛」の存在に気づきます。そのきっかけは切った髪に気づいてくれる人がいたという、ささやかなものでした。
日頃歩く道に花が咲いていても、人はすぐには気づきません。風が香りを運んでくれて初めて気づくように「愛」も何かのきっかけがないと自分からは気づけないのかもしれません。
の一言がここでは深い意味があるように感じます。
この後の歌詞を見ると「私」は既に一人の道を歩き始めています。
それまでの、友達と一緒にいて、一見「愛」に囲まれているように見えた時には、感じられなかった本当の「愛」の存在に気づけたのは一人になった後だったのではないでしょうか。
最初の「切った髪」というのも、それまでは誰かの好みに合わせていた髪型を変えて、自分の気持ちに素直に生き始めた表れかもしれません。
1人になって気づけたこと
思ったよりも
寂しくはないよ
一人で歩いてたって
Don’t worry
思ったよりも
しあわせかもしれない
いつもとは
違う道
歩こう
陽だまりをいつも探してたって
そうあまり意味はないよ
だって 太陽は動いてるんだ
好きな方に向かって ただ 生きよう
どこへでも・・・
Oh… Oh…
1人になる道を選択する前は、周りの人に合わせることを大事にして「自分1人」という状況に不安を抱いていた「私」ですが、実際にその道を歩いてみると、現実は心配とだいぶ違っていました。
「1人」は「寂しく」「不幸」だと思っていましたが、そんなことはなく、意外と楽しくやっていけています。
「陽だまりを探す」とは、常に周りの評価を気にして、それに合わせて生きていく様子です。
その場にいる間は、温かく、快適かもしれませんが、陽だまりは太陽の動きに合わせて、常に動いていくので、それに合わせ続ける生き方は、気が休まりませんし、自分の意志というのがありません。
そんなに日陰を恐れないで、自分の好きな方向に進んでいこう!というのが、1番でのメッセージです。
自分の心に素直に従ってこそ気づくもの
まわりの風景に気を取られちゃ
足下の花 見逃すよ
そんな不器用な私のこと
見ていてくれる誰かがいる
縁っていうのは探せるものじゃなく
ある日ばったり 出会うもの
きっと通り過ぎてから
あれがそうかと思い出す
季節
2番のメッセージも1番と共通しています。
特に「通り過ぎてから あれがそうかと思い出す」というメッセージがもう一度言われています。
これは、「愛」や「縁」などは目先のものを求めて、得られる訳ではなくて、自分の心に素直に生きていく中で、周りにたくさんの「縁」が生まれているという状況を表していると思います。
気づけば冬が終わって、春が来ている季節の移り変わりのように、微かな変化の積み重ねが、後から振り返ると大きな変化だったと気づく感覚です。
1人になる覚悟
覚悟してたより
平気だったかも・・・
意外に強かったんだ
It’s OK!
覚悟してたより
穏やかな毎日よ
昨日とは
違う空
見上げて・・・
人生は陽が照ったり翳(かげ)ったり
雲行きは変わって行く
今の しあわせは過去と未来の途中
やりたいようにやって前に進もう
微笑んで
Oh… Oh…
既に「1人」の道を歩み始めている「私」ですが、その決断には大きな覚悟があったことが示されます。
やはり、体験してみない時には「1人」と「独り(孤独)」との違いは分からないと思いますし、かなりの勇気が必要でしょう。
1番の「陽だまり」のたとえから続いて、「雲行き」によって、日向・日陰も変わっていくという表現が出てきます。
心地良い環境にいると人は変化を恐れてしまいますが、どんな生き方をしていても、急に上手くいかない、曇りの時期などもやってくるものです。
人生は長い道のようであり、立ち止まり続けることはできません。
どんな状況でも前に進んでいこうという励ましのメッセージを感じます。
これまでを振り返る「私」
誰もが恐れていたんだね
孤独という名の闇
本当は一人でも
ずっと生きていけるのに・・・
もっと 光を・・・
もっと 日差しを・・・
もっと 木漏れ日・・・
「そばにいて欲しかった」
世界は誰かの気配に溢れ
寂しさ紛らわす
誰かの声や
誰かのぬくもりに
一人じゃないと
救われてた
今日まで・・・
この部分は、曲調も急に変わります。
既に1人でも大丈夫な強さを手に入れ、歩いている「私」ですが、ここでふと後ろを振り返ります。
ここで言う「誰もが」とは、まだ「1人」を「独り」だと恐れて、一歩を踏み出せないでいる人たちであると同時に過去の自分も指していると思います。
「光」「日差し」「木漏れ日」という日光は、「人からの承認」の比喩としてこの曲では一貫しています。「もっと私に気づいて!私を認めて!」といった声でしょう。
「そばにいて欲しかった」というのは、「1人」を決断した時に誰かから言われた言葉かもしれません。それは「愛」というよりは、自分のために束縛する鎖です。
自分の周りやSNS等を見渡せば、そんな人たちが、寂しさを紛らわすために発する声を聞いたり、寂しさを紛らわすために身を寄せ合うことで生じるぬくもりを感じることはできます。※「もっと~を」が「声」を、「そばにいて欲しかった」が「ぬくもり」を表していると考えられます。
これまでの「私」も、それによって「1人」じゃないと救われた気がしていたのでしょう。
ですが、それらはいつまで経っても「誰かの気配」「誰かの声」「誰かのぬくもり」のままであり、その相手と本当の「縁」や「愛」を結ぶことはできません。
まずは一歩を踏み出してみよう!
考え過ぎないで
思ったよりも
寂しくはないよ
一人で歩いてたって
Don’t worry
思ったよりも
しあわせかもしれない
いつもとは
違う道
歩こう
どこへでも・・・
Oh… Oh…
最後は「考え過ぎないで」という呼びかけの後に、サビが続きます。
「1人」になった後の世界をあれこれと考えてしまうと、やはりどうしても不安が生じるものでしょう。
ですから、大事なのは、色々と考えるまえに一歩を踏み出すことです。
「私」も「1人」になる前は、こんな世界が広がっているなんて想像もできませんでした。
それは「後で」「思ったよりも」「覚悟してたより」と何度も強調されています。
どんな未来が待っているかは誰にも分かりません。雲行きによっては、しばらくは曇り空の下を行かなくてはいけないかもしれません。
ですが、自分に素直に歩き続ければ、周りはいつの間にか「愛」や「縁」といった花が囲んでいるはずです。
さあ、まずは一歩を踏み出しましょう!
そんな励ましのエネルギーをもらえる曲でした。
最後に
長文をお読みくださりありがとうございます。
メッセージ主体の曲なので、比喩が表している物などを確認しながら、全体像を追っていきました。
別のアプローチとして、この曲は欅坂46時代から改名をして「違う道」を歩き始めた櫻坂46というグループの立場に絡めて考察する方も多いようです。そういった考え方も面白いとは思います。(私の手には余るので、ここではその方法は採りませんが)
コメントなどいただけるとありがたいです。
櫻坂46の他の曲はこちら ↓
https://www.utakoku.com/2021-09-05-182939/sakurazaka46-index/