櫻坂46 歌詞 解釈

櫻坂46「僕のジレンマ」の深い歌詞の意味を考察!〜「夢」と「君」の間で動けない「僕」。「青空が違う」のプロローグ?~

「僕」は最終的にどちらを選んだ?「僕のジレンマ」のストーリーを考察!

2022.4.6発売の櫻坂46の4thシングル『五月雨よ』のカップリング曲である「僕のジレンマ」が2.27のラジオ「櫻坂46 こちら有楽町星空放送局」で初公開されました!

センターは、この4thシングルでの活動をもって卒業を発表している渡邉理佐さんです。更に、この曲は全員参加の楽曲ということもあり、注目が集まっています。

ラジオの中では渡邉理佐さんが
①渡邉理佐さんの周りを1期生が囲むフォーメーションであること。
②渡邉理佐さんがメンバー一人一人とそれぞれ絡む振り付けがあること。

を明かしており、MVやLIVEでの披露にも期待が高まります。

曲調も、荘厳な前奏から始まる、とても素晴らしい雰囲気です。

今回は
■「ジレンマ」という言葉の意味
■「僕」は何と何で悩んでいる?
■「自分の道を見つける」とは?
■「僕」の最終的な選択とは?

を中心に考えていきます。

ぜひ最後までお読みください。

待望のMVが公開されました!渡邉理佐さんの卒業ライブかと思わせる感動的な映像になっています。こちらもぜひご覧ください。

歌詞の全体像を確認!

まずは歌詞の全文を載せます。
長いので、飛ばしたい方は目次から飛んでください。

【1番】
頬を掠(かす)めて吹き抜ける 温度のある風が
世界をもう一周廻り ここに戻って来るまで
僕の決心は揺るがずに いられるのだろうか
夢を追う代償は 残酷に過ぎてく時間だ

何を捨てて 何を得るつもりか 答えが見えない
僕が僕でいるために 僕じゃなくなる

ジレンマ
今すぐに行かなきゃいけない
分かっているのに 足が動かないんだ
ジレンマ
でも君を一人だけ
残して行けない 心が引き裂かれるくらい

【2番】
人生で大切なのは 選択することだ
全てを手に入れようなんて 虫が良すぎるってこと
幼い頃から見てた夢 叶うと信じて
一番近くの誰かが かけがえない存在と気付く

「好きなんだ」

そんな僕の 身勝手なサヨナラでさえ 仕方ないねと
君にそっと微笑まれて 白旗揚(あ)げた

無理だよ
もう 僕は どこへも行かない
優柔不断と 言われても構わない
無理だよ
どちらかを一つだけ
選べと言うならば ここに残って後悔しよう

この世には何一つ 割り切れるものなんてない
生きるということは ジタバタともがくこと
誰も迷うことなく 真っ直ぐは歩けない
わかるだろう

いくつもの寄り道しながら(いくつもの足跡をつけて)
いつの日にか自分の道を見つける

ジレンマ

ジレンマ
今すぐに行かなきゃいけない
わかっているのに 足が動かないんだ
ジレンマ
でも君を 一人だけ
残して行けない 心が引き裂かれるくらい

どっちへ進めばいいかわからない

そもそも「ジレンマ」とは?

この歌のタイトルにもなっている「ジレンマ」とは、英語では「dilemma」と書き、2つの相反する選択肢に挟まれ、身動きが出来なくなる状態を指します。日本語では「板挟み」「あちらを立てればこちらが立たず」などに当たります。

この歌詞では、「夢を追うこと」と「ここに残って君と過ごすこと」の2つの選択肢で揺れ動いていることが分かります。そんなストーリーを詳しく追っていきましょう。

歌の流れを追いながらストーリーを詳しく考察

1番 「夢」>「君」

【1番】
頬を掠(かす)めて吹き抜ける 温度のある風が
世界をもう一周廻り ここに戻って来るまで
僕の決心は揺るがずに いられるのだろうか
夢を追う代償は 残酷に過ぎてく時間だ

何を捨てて 何を得るつもりか 答えが見えない
僕が僕でいるために 僕じゃなくなる

ジレンマ
今すぐに行かなきゃいけない
分かっているのに 足が動かないんだ
ジレンマ
でも君を一人だけ
残して行けない 心が引き裂かれるくらい

「温度のある風が世界をもう一周廻りここに戻ってくるまで」がどれぐらいの期間を表すのかは様々な可能性がありそうですが、ここでは「暖かい春風が来年また吹く頃まで」くらいに捉えました。
「世界を一周廻る」というのは、「僕」が夢を追うために、世界を廻る必要があることを暗示しているのかもしれませんね。(芸術関係の勉強で本場の国で学ぶなど)

「僕の決心」は「夢を追う代償」という言葉から考えると、「君」よりも「夢」を優先するという決心だと考えられます。夢を追っている間も時間は残酷に過ぎてゆき、「君」にはその間、辛い想いをさせることになります。
例えば「夢を追う」ために世界を巡るとして、その間ずっと「夢」>「君」という決心が揺るがずにいられるかという不安でしょう。

「僕が僕でいるために 僕じゃなくなる」は、心に響く歌詞です。
「夢」も「君」も、どちらも僕の人生には欠かせないものです。それなのに、どちらかを求めると、どちらかは失ってしまうという究極の選択を迫られています。
まさに「心が引き裂かれる」状態でしょう。
1番では「行かなきゃいけない」と、「夢」の方へと気持ちは傾いていることが感じられます。しかし、これが2番ではまた変化します。

2番 「夢」<「君」

【2番】
人生で大切なのは 選択することだ
全てを手に入れようなんて 虫が良すぎるってこと
幼い頃から見てた夢 叶うと信じて
一番近くの誰かが かけがえない存在と気付く

「好きなんだ」

そんな僕の 身勝手なサヨナラでさえ 仕方ないねと
君にそっと微笑まれて 白旗揚(あ)げた

無理だよ
もう 僕は どこへも行かない
優柔不断と 言われても構わない
無理だよ
どちらかを一つだけ
選べと言うならば ここに残って後悔しよう

「夢」も「君」も同時に得られれば、一番良いのでしょうが、人生ではどちらかを選ばなければいけないことがたくさんあります。「僕」はそんな理屈を自分に言い聞かせているかのようです。

ここで、「夢」は幼い頃からずっと抱いていたものであることが分かります。その夢を叶えるのに、一歩を踏み出さなければいけないタイミングが今なのでしょう。
しかし、そんな状況になり、地元を離れることを考えた時に初めて、「君」という存在の大きさと、それに対する自分の気持ちに気づいたのだと考えられます。

1番の歌詞にストーリーが直接つながるのは「そんな僕の~」からだと考えられます。
「夢」>「君」という「決心」をして、「君」に別れを(恐らくは一方的に)伝えます。
ここでケンカにでもなれば、この先の展開も違っていたかもしれませんが、「君」は「僕」の選択を受け入れて、笑顔を返します。
そんな健気な様子に「僕」の決心はあっという間に崩れます
「白旗揚げた」は負けを認めたという表現ですが、「君」を置いていくなんて「無理だよ」と早々に降参してしまいます。

面白いのは「ここに残って後悔しよう」という表現です。普通は「後悔しないように~を選択しよう」と言いそうですが、「夢」を選んでも「君」を選んでも必ず後悔はするからこそ「ジレンマ」なのだと言えます
「正解」はあるわけではなく、どちらの後悔をとるかという選択だと言えそうです。

「自分の道を見つける」とは?

この世には何一つ 割り切れるものなんてない
生きるということは ジタバタともがくこと
誰も迷うことなく 真っ直ぐは歩けない
わかるだろう

いくつもの寄り道しながら(いくつもの足跡をつけて)
いつの日にか自分の道を見つける

「僕」は再び、世の中の理屈によって、自分を後押ししようとしています。「わかるだろう」という言い方は、もしかすると「君」に対して説得をしているのかもしれません。

「いくつもの寄り道しながら いつの日にか自分の道を見つける」という歌詞も心に響きます。
「自分の道」とは、「この先進むべき道」と捉えても良いですが、私は「迷いながら無数につけてきた足跡の中で、『意味のある一本の繋がり』に数年後に気づく」と解釈したいと思います。
高村光太郎さんの「道程」という詩集で有名な「僕の前に道はない 僕の後ろに道はできる」という考え方ですね。

「ジレンマ」は恐らく、どんなに経験を積んでも訪れます。
どんなに経験を積んでも、事前に「正解」が分かることも恐らくはありません。
何年も後に振り返って初めて、「ああ、これが自分の通るべき道だったのだな」と気づくのではないでしょうか。

さて、そんな「ジレンマ」の中で「僕」は今後、どのような選択をするのでしょうか?

「僕」は最終的にどちらを選ぶ?

ジレンマ

ジレンマ
今すぐに行かなきゃいけない
わかっているのに 足が動かないんだ
ジレンマ
でも君を 一人だけ
残して行けない 心が引き裂かれるくらい

どっちへ進めばいいかわからない

最後はまた、1サビが繰り返されますが、最後には新たな一文が付け足されています。
「どっちへ進めばいいかわからない」ですね。
まさに「ジレンマ」を表現した一文ですが、1サビの時は、前後の流れから「夢」の方に傾いているのが感じられました。
しかし、ここで「どっちへ進めばいいかわからない」が加わることで、逆方向への力が働きます。

そのままの向きで考えるなら、最終的には「君」を選択する可能性の方が、わずかですが高いのではないでしょうか

・・・とまあ、これは、ほぼ願望です。
そもそも「僕のジレンマ」というテーマから考えれば、この迷っている最中こそが描きたいものであり、どちらかに正解を求めるのは、この歌詞の趣旨と外れるでしょう。

願わくは「僕」も「君」も幸せになりますように・・・。

「青空が違う」のプロローグ?

前段ではほぼ願望を書いてしまいましたが、その勢いでもう一つ考えると、これは「青空が違う」のプロローグとして読めるかもしれません。

「青空が違う」は欅坂46時代に渡邉理佐さんを含む「青空とMARRY」という5人組で歌っていた名曲です。最近でも「青空とMARRY」のメンバーだった、守屋茜さんと、渡邉梨加さんが卒業する際に、披露されて話題となりました。

「青空が違う」の解釈&解説は、こちら↓にも関連して書いているのでお読みください。

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渡邉理佐さんセンターで「夢を追う僕」と「君」という構図はどうしても、この曲を彷彿とさせます。
そして、そのように「青空が違う」のプロローグと捉えるならば、この歌の後「僕」は「君」を置いて夢のために上京をするも、「君」との関係が終わる訳ではなく、続いていくのだと読めます。

これも多分に願望が入っているかもしれませんが、そんな楽しみ方はどうでしょうか?

最後に 「青空とMARRY」に絡めて・・・

いかがでしたでしょうか?

やはり渡邉理佐さんが卒業する前の最後のセンター曲ということで、色々な歌詞がオーバーラップしてきますね。

櫻坂46を卒業して、新たな夢に向かっていく気持ちもあるでしょうし、まだメンバーと一緒に過ごしたいという想いもあるでしょう。

特に欅坂46時代の「青空とMARRY」というユニットは、理佐さんが卒業するとキャプテンの菅井友香さんが一人残ることになります
「君を一人だけ 残して行けない」という歌詞にはそんな想像も浮かんできてしまいます。

人生の様々な場面で直面する「ジレンマ」がテーマな分、様々な人を勇気づける名曲になっていくと想います。

長くなりましたが、ここまでお読みくださりありがとうございました!

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