櫻坂46 歌詞 解釈

櫻坂46「制服の人魚」の深い歌詞の意味を考察!〜タイトルの意味は?「制服」が象徴するものとは?~

大人と子どもの間の微妙な心を描いた「制服の人魚」

2022.4.6発売の櫻坂46の4thシングル『五月雨よ』のカップリング曲「制服の人魚」が3.18のラジオ「SCHOOL OF LOCK!FRIDAY 学校運営戦略会議」で初公開されました!

山﨑天さん・守屋麗奈さん・武元唯衣さん・森田ひかるさん4人のユニット曲です。

「制服の人魚」というタイトルから、公開前に歌詞の内容があれこれと考察されてきましたが、蓋を開けてみると、10代の微妙な心の揺れ動きを表現した歌詞で、欅坂時代の歌詞を彷彿とさせるものでした。

今回は

■「私」はどんな子?
■「制服の人魚」というタイトルの意味とは?
■「私」の悩みとは?

を中心に考えていきます。

ぜひ最後までお読みください。

「私」はどんな子?

1番 学校を気にしつつ夜通し遊ぶ「私」

【1番】
Hoo!
Let’s start this love tonight
こうしてちゃ いられない

門限何時か聞かれたって
本音 建前 検討中
チラリ スマホを覗いてから
う~んって迷ってるフリして
結局は 今日もオール
なんか 前髪決まらない
ムカつく夜もきっと
朝には機嫌 直ってる

学校は行かなきゃいけない 誰が決めたルール?
ちょっとズル休みしたって 迷惑かけてない
ずっと
Say Hoo!身体(からだ)の力抜いて難しいこと忘れて
Say Hoo!リズムに漂って まるでお魚みたいに Oh

LEDの水槽の中 なんだかいい気持ち
ずっと 時間が止まってる
大人になんかなりたくない
もう少し ここにいさせてよ

出だしの「こうしてちゃ いられない」という歌詞は、直後に「門限」とあるので、一見すると「もう帰らなくちゃ」という心の声に見えます。しかし、これはこの歌全体を貫く、カギとなる心の叫びです

「私」は女子高生なのに深夜のクラブで朝まで過ごすという「他とは違う自分」を味わっています。ですが、「大人になんかなりたくない」と「女子高生」を捨てるのは拒否しています。

「早く大人になりたい」というのではなく、「学校は面倒、でも大人にはなりたくない」という中途半端さへの自覚と焦りが、この曲のテーマです。

「LEDの水槽の中」とは、深夜のクラブのことだと考えられますが、そこは大人の世界を表す「海」ではなく、「水槽」と表現されています。

そこでは「女子高生」である自分は珍しい存在であり、門限を気にされたり、「学校は行かなくて良いの?」など訊かれたりと特別扱いをしてもらえます。
ですが、そんな特別扱いは女子高生の間だけであることを「私」も自覚しています。

サビ 「制服の人魚」とは何を表している?

制服の人魚 みんなにそう呼ばれてた
だっていつかあの海へと帰ってく
運命でしょ
全部脱ぎ捨てなきゃ 伝説にならないこと
自分だってわかってる
なんだかんだ
女子高生だもん

何にも期待してない
何にも期待してない
何にも期待してない
未来は深い海の底

「制服の人魚」というタイトルの意味は何でしょうか?

言うまでもなく「人魚」とは半分が人間の体で、もう半分が魚の体をしている存在です。アンデルセンの「人魚姫」という物語では、人間の王子様に会うため、魔女に姿を人間に変えてもらい、人間界で暮らしています。
「あの海へと帰ってく」という表現からは、そのような「人間界で暮らす人魚」がイメージされていると考えられます。

ここでは、「子ども≓女子高生」の世界を「人間界」に、「大人」の世界を「海」に喩えているのでしょう。

「人魚」は人間でも魚でもありません。それと同じく、「私」は子どもでも大人でもない中途半端さに苦しんでいます
学校をサボったり、家に帰らないという様子からは「子どもの世界」にあまり馴染めていない「私」が見えます。一方でクラブなど「大人の世界」でも「門限」を気にされたりと、あくまでも「子ども」として扱われています。

それならば、いっそのこと制服なんて脱ぎ捨てて、完全に「大人」として生きれば良いと「私」も考えはしますが、その選択肢も選びはしません
それがタイトル前半の「制服の」に大きく関わります。次に、それを見ていきましょう。

2番 「私」にとっての「制服」とは?

【2番】
知らない人たちばかり 叱られることもない
そんな温(ぬる)い世界が好き
背伸びなんかしてないよ
未成年 それは罪ですか?

制服が重い やりたいことができない
だから早く着替えたいと思った
当然でしょ?

まだまだ家に帰らない
まだまだ家に帰らない
まだまだ家に帰らない
今だけ楽しければいい

こうしてちゃ
いられない
こうしてて
いいんだよ

「ID を見せてください」チェックをされたって
誰が何 証明してくれるの?
だって私は私でしょ?
何もない ただのTeenager

子供でもなくて 大人でもないなんてね
中途半端な存在が私よ
いけませんか?

「知らない人たちばかり 叱られることもない」という言葉からは、「子どもの世界」の狭く濃すぎる人間関係や、大人からの管理にあまり馴染めていない「私」が読み取れます。

この2番では「私」の「子どもじゃない、大人なんだ」という想いが何度も何度も語られています。「やりたいことができない だから早く着替えたいと思った 当然でしょ?」という歌詞は不自然すぎるほどに論理的で、周囲に自分の特別さを必死に訴えているかのようです。

「私は私でしょ?」の直後が非常に重要で、もし「何でもない ただのTeenager」と続けば、レッテル貼りを拒否し、「自分」という存在に自信をもっている「私」が浮かびます。しかし、この歌詞では「何もない」と続きます

これは、「何でもない」とは真逆で、「自分」という存在に自信がもてていない「私」が浮かんでくるでしょう。今、「私」の心に存在意義を与えているのは「制服」「女子高生」という一つのラベルしかありません

「女子高生」の間は、クラブなどの「オトナな世界」では珍しい存在として見られるし、「子どもの世界」からも、みんなとは異なる存在として見られるでしょう。今は、それがアイデンティティになっているかもしれません。

しかし、学校を卒業し「大人」の世界に行ってしまえば、そんな「物珍しさ」は全く無くなります。ちょうど、人間界で「人魚を見た」となれば話題になるかもしれませんが、海の世界では何も珍しくないのと同じです。

本物の「大人」になるためには、確たる自信が持てるような「何か」を身につけなくてはいけないという焦り・・・それこそが冒頭の「こうしてちゃいられない」という心の声なのではないでしょうか

そういう意味で「クラブ」などはただ「オトナっぽい」だけで、本当の「大人の世界=海」ではありません。それが「水槽」という表現で絶妙に表されています。

まとめ(改めて「制服の人魚」というタイトルについて)

話が複雑になったので、まとめます。

「私」は「子どもの世界」には馴染めていませんが、かといって、学校や家を完全に捨てるような考えも持ってはいません。「私」は「制服=女子高生」という立場があってこそ、「オトナ=水槽」でも相手にされているのだと自分で分かっています。

プロスポーツ選手など、子どものうちから「伝説」になるような人たちは、「全部脱ぎ捨て」自分の身ひとつになっても、堂々と世の中を渡っていける人たちですが、「私」には、まだそんな自信はありません。

「制服の人魚」というタイトルは、「制服」という儚いアイデンティティにすがりながら、迫り来る「海へ帰る日=大人になる日」におびえる「私」の「こうしちゃいられない」という焦燥を表したものだと言えます

「人間界の中での人魚」のような珍しさではなく、周りにいくらでも人魚がいる「海の中」でも確固たるアイデンティティをもって堂々と生きていける「私」になる日は来るのでしょうか?見守っていきたいですね。

最後に

いかがでしたでしょうか?

なんだか欅坂時代の様々な「僕」のストーリーを彷彿とさせる歌詞で懐かしさを感じました。

一見すると「子どもの世界は生きづらい」→「だから早く大人になりたい」という歌なのかなと考えてしまいそうですが、歌詞を追うことで、本当は「大人になること」への恐れを歌っているのだと考えました。そんな視点でもう一度聴いてみていただけたら嬉しいです。

他にも、前髪に非常にこだわる森田ひかるさんが「前髪決まらない」を歌ったり、あざと可愛いキャラの守屋麗奈さんが「魚」でなく「お魚」と歌ったり、ユニット曲ならではの楽しみも色々ある歌詞になっています。ライブでの披露が楽しみですね!

長くなりましたが、ここまでお読みくださりありがとうございました!

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