櫻坂46 歌詞 解釈

櫻坂46「ジャマイカビール」の深い歌詞の意味を考察&解説!~激しい未練の中、「ジャマイカビール」を飲む行動の意味とは?~

小林由依さん、藤吉夏鈴さん、遠藤光莉さんの格好良さが爆発する「ジャマイカビール」!

2021.10.13発売の櫻坂46の3rdシングル「流れ弾」のカップリング曲で、小林由依さん・遠藤光莉さん・藤吉夏鈴さんが歌う「ジャマイカビール」が10.1のラジオ「SCHOOL OF LOCK! 教育委員会」で初公開されました!

放送前、タイトルから様々に予想されていた曲調とは、かなり違った雰囲気の曲で、とても落ち着いた深みのある曲です。

初公開時、小林由依さんはまだ休養中で、ダンスや衣装などは謎に包まれていましたが、2021.12.9~10に日本武道館で行われた「1st YEAR ANNIVERSARY LIVE」で小林由依さんが復帰し、この曲も初めてステージで披露されました。

3人のダンスも専用の衣装もメチャクチャ格好いいものでした!

ここでは歌詞を紹介しながら、

■なぜジャマイカビール?
■登場人物ふたりの関係は?
■どんなストーリー?
■「Plastic regret」と繋がる?

などについて考えていきたいと思います。

ぜひ最後までお読みください。

歌詞の流れに沿って分析!

【1番】なぜ「ジャマイカビール」?

「ジャマイカビール」というタイトルはインパクトが大きく、曲が配信されるまで、ファンの間では様々な予想合戦となりました。

「ジャマイカの三大名物」といえば「ブルーマウンテン・レゲエ・レッドストライプ(ジャマイカビール)」を言うそうです。

ブルーマウンテン

ボブ・マーリー(レゲエの神様)

レッドストライプ(ジャマイカビール)

レゲエのイメージもあってか、陽気でにぎやかな曲調を想像する人が多かったですが、実際の曲は静かなジャズ喫茶で流れるような落ち着いた雰囲気でした。

「賞味期限も過ぎてる」という表現からは2つのイメージが湧きます。

1つ目は、2人の一緒に過ごしていた時間の長さです。ビールの賞味期限はだいたい9ヶ月ほどらしいですが、それ以前から、2人が一緒に暮らしていたことがうかがえます。2人暮らしの冷蔵庫は、それほど大きくないと思いますが、その中に相手のビールがずっと置いてあっても、特に文句を言うわけでもない関係だったのでしょう。

2つ目は、この2人の恋が、時間が経って気が抜けてしまったビールのようだというイメージです。これは「Plastic regret」の「味のしないガム」の喩えとも通じるかもしれません。

普通のビールではなく、「ジャマイカビール」を愛飲している「あいつ」はどんな人でしょうか?

レゲエを愛する、陽気な性格でしょうか?
わざわざ、手に入りにくいジャマイカビールを取り寄せる、こだわりの強い人でしょうか?
この1単語だけで、ただのビールよりも「あいつ」の人物像をより鮮明に視聴者にイメージさせる効果があります。

どんな別れ方をした?

思い出は全部 粗大ゴミ
業者が引き取ってようやくキレイになった
大きな涙なんて自分一人では
捨てることさえできないらしい

気に入っていた椅子を置いていったのは
取りに来れるように 口実残したの?
新しい彼女と続かないって
本能的に気づいたんでしょ?

さめざめと泣けるくらいなら
あたしから別れたりしない

1番と2番の歌詞を見てみると、「あいつ」に新しい彼女ができて、「あたし」の方から別れを切り出したことが分かります

「業者が引き取って」というのも、「あたし」が一方的に処分した訳ではなく、「椅子を置いていった」などとあるので、「あいつ」が指示を出して自分の荷物を引き揚げていったのでしょう。(このあたり欅坂46時代の「302号室」と同じですね。)

都合のいいやさしさと不都合な嘘を
分別できない女です

激しい喧嘩別れなどであれば、未練もなく、気持ちを切り換えることができたかもしれません

ですが、この2人はそうではなく、比較的冷静に話し合いをして、「じゃあ、○日に荷物は業者が引き取るから・・・」というように「別れのステップ」を粛々と進めていったのでしょう。

「都合のいいやさしさ」や「不都合な嘘」とは何でしょうか?

男の方は新しい彼女ができているのに「お前のことを嫌いになった訳じゃない」のような、綺麗な言葉を並べたのかもしれません。

「都合のいいやさしさ」とは男側にとって都合がいい状況にするために見せる、表面的な「優しさ」であり、「不都合な嘘」とは、バレては不都合な「嘘」だと考えます。

だとすれば、これらは本質的に同じものであり、「都合のいいやさしさ」=「不都合な嘘」を、「本当の優しさ」と分別できないと読むのが自然です。

これまでの本心で言ってくれた「好き」と、新しい彼女が出来てからの「都合のいいやさしさ」としての「好き」の境目を見抜くことが出来ずに、未練が残ってしまいます。

未練の残り方がすごい!

大きな涙なんて自分一人では
捨てることさえできないらしい

歌詞の中に「未練たらたらだ」とあるように、この歌全体のテーマは「あたし」の「あいつ」に対する「未練」だと言えます。

「あいつ」と別れてから、しばらく経っていると思いますが、男が置いていったものは、業者が引き取るまで、おそらく大小全ての物に手はつけられていないのでしょう。

冷蔵庫の中の「ジャマイカビール」1本程度を飲むのが、こんな歌になってしまうところにその未練の大きさを感じられます

「大きな涙なんて 自分ひとりでは 捨てることさえできないらしい」というのは、「あいつ」の私物も、「あいつ」への未練から流れる涙も、「あたし」には全く整理ができない状況を表しています。

内心では「気持ちを切り換えていかなきゃ」と思っているのかもしれませんが、現実にはまったく気持ちを断ち切れません。

今ならまだ間に合うかも
どっちかがごめんと言えば
二人はどうにかなるものだろうか

「今ならまだ間に合うかも」という考えは、「未練」が極限まで来ている感じがします。

「新しい彼女」ができて荷物も全部引き揚げて出て行ったのに、どう「間に合う」のでしょうか?

「良い女友達」?「2人目の恋人」?そんな未来を望んでいるのでしょうか?

おそらく「どっちかがゴメンと言えば」という言葉は、「どっちかが」とは言いながら、「あいつ」から謝ってくることを期待しているのだと考えられます。

「気に入った椅子を」戻る口実に置いていったと考えているのも、「あたし」が一方的に期待しているだけであって、もしかしたら「あいつ」にとってはそれほど思い入れのない椅子だったかもしれません。

それでも、別れ際の「あいつ」の優しい言葉や、残していった物一つ一つを自分なりにつなぎ合わせて、まだ「あいつ」が自分の元に戻ってくる未来を捨て切れていません。それが「未練」の元となっているのでしょう

これからどうすればいいかな
図々しく相談したら
的確なアドバイスくれないか・・・

「未練」を断ち切れない「あたし」はあろうことか、彼女を作って出て行った「あいつ」自身に相談しようかとまで考えています。

「的確なアドバイス」と言っているところからは、こんな状況の中でも「あいつ」に対する信頼感が感じられます。

「あいつ」という呼び方や「あたし」の方の部屋に一緒に住んでいたことなどだけを見ると、表面的には対等な関係に見えますが、気持ちの面では、かなり「あたし」の方が「あいつ」に甘えて依存していたのでしょう。

サッパリと気持ちを切り換えている「あいつ」と、残されて前に進めない「あたし」の姿が浮かんできます。

賞味期限も過ぎてるビールを飲み干すのは?

ジャマイカビール 飲みましょう
飲みましょう

「あいつ」が置いていった賞味期限切れのビールを「あたし」は捨てることなく、飲むことにします

未練がなければ、こんな小さな行動は歌にもなりません。さっさと捨てておしまいです。

ですが、ここでは「捨てる」のではなく「飲む」ことに意味があると考えます。

徹底的に傷つかないからこその「未練」

思えば、この別れの中で「あたし」は「あいつ」に対して、自分から別れを切り出しています。「あいつ」に新しい彼女ができているので、振られているのは「あたし」のハズですが、形式上は「あたし」が振ったようになっています。部屋から追い出されるのも「あいつ」です。

「都合のいい優しさ」という表現を考えれば、「あいつ」は最後まで、「あたし」を傷つけるようなセリフは言わずに、穏便に「別れ」を済ませたのだと考えられます。

つまりここに至るまで「あたし」のプライドを徹底的に傷つけるような出来事はなく、綺麗な形で別れを終えたからこそ「未練」が残ってしまっているのではないでしょうか?

それはまさに「ハートがくすぶっている」状態です。振られているので燃え上がることもできず、しかし、水を掛けられている訳でもないので、未練だけは燃え続けている・・・

ここで必要なのは、一度水を掛けて、ドン底まで悲しみ、傷ついてみることだと思います。そうすることでしか、新しい炎を燃やすことはできないでしょう。

もしここで、「あいつ」のジャマイカビールをキッパリと捨ててしまえば、形は綺麗ですが、今後も未練は残り続けると思います。

あえて飲み干し、全身に悲しみを行き渡らせることで、これからようやく、一歩ずつ前へと進んでいけるのではないでしょうか。

「Plastic regret」とのつながり

この「ジャマイカビール」のストーリーは「Plastic regret」の後日談として読むこともできると思います。

「Plastic regret」も、相手に「新しい彼女」が出来てしまい、綺麗に別れたものの、未練が残っている話です。相手の呼び方が「あいつ」と「あなた」で違っていたりと完全には一致しませんが、世界観を広げる、一つの視点として紹介だけしておきます。

「Plastic regret」の考察については

櫻坂46「Plastic regret」の深い歌詞の意味を考察〜「Plastic」が表すものとは?失恋で初めて気づく自分の「心」〜「Plastic」とは何を表しているのか?難解なこの歌ですが、その解釈を知ると、見えるストーリーが全く違ったものになります。2通りに考えられる話のどちらも詳しく解説!...

をお読みください。

最後に

いかがだったでしょうか?
ストーリーの大筋は分かりやすい歌なので、細かい部分にこだわって、考えてみました。こうして見ると、題名の「ジャマイカビール」が果たしている役割は大きいですね。
様々なものを「ゴミ」の比喩で統一しているところや、対句的な表現など、まだまだ面白いポイントはありそうです。
みなさんの意見をお待ちしています。
長文をお読みくださりありがとうございました!

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