欅坂46として鮮烈なデビューの曲となった「サイレントマジョリティー」
2016年4月6日。欅坂46のデビュー曲である「サイレントマジョリティー」が発売されました。
前年2015年の8月21日に、当初は「鳥居坂46」という名で募集されたオーディションの最終審査があり、2万2509人の応募の中から選ばれた22名が決定しました。
※そしてその場で急遽「欅坂46」へと改名も発表されました。改名の理由は「画数が良かったから」だとか・・・。
それから約半年。数々のトレーニングなどを経て、記念すべきデビュー曲となった「サイレントマジョリティー」は世間に衝撃を与えました。
およそアイドルの曲らしからぬ歌詞と、プロモーションのされ方であり、これまでのグループアイドルとはひと味違う雰囲気を纏っていました。
それから約5年経った、2021年には高校の「歴史総合」の教科書で、民主主義の項目に絡めて「サイレントマジョリティー」が紹介されています。
では、そのように世間に衝撃を与えた歌詞とは具体的にどのようなものなのでしょうか?
歌詞の流れに沿って、詳しい意味を考えていきます。
この歌は、ストーリー性よりもメッセージ性の方が強い歌なので、ここでも難しい歌詞の意味を解説しながら、
を中心に考えていきます。
ぜひ最後までお読みください。
MVはこちらから見られます。(現在、約1億6千万回再生!)
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目次
- 欅坂46として鮮烈なデビューの曲となった「サイレントマジョリティー」
- 歌詞の流れに沿って、内容を確認!
- 若者へのメッセージ
- 「サイレントマジョリティー」とは何か?
- 「つまらない大人」にはなるな!
- 「僕」が同じ目線から語りかける瞬間
- 最後に
歌詞の流れに沿って、内容を確認!
人が溢れた交差点を
どこへ行く?(押し流され)
似たような服を着て
似たような表情で…
群れの中に紛れるように
歩いてる(疑わずに)
誰かと違うことに
何をためらうのだろう
先行く人が振り返り
列を乱すなと
ルールを説くけど
その目は死んでいる
出だしの「交差点」は、MVの撮影にも使われた「渋谷」のスクランブル交差点をイメージさせます。多い時では1回の青信号で約3000人もの人が渡るそうですが、その姿はまさに「押し流され」る「群れ」という表現がピッタリで、その中の一人一人の意志などについて考える人はほとんどいません。
交差点は1つの比喩ですが、日常生活でも大勢の人が「他の人と違ったことをして目立つ」ということを極度に恐れています。
そんな中で、この歌の話者は、そんな集団からはみ出ることを恐れる人々とは違った目線を持ち、「何をためらうのだろう」と疑問を呈しています。
「先行く人」とは、大人・上司・先輩・親など、様々に「指導をしてくる」存在ですが、「列を乱すな」というのは、言い換えれば「私たちが生きてきたのと同じ生き方をしなさい」ということです。
その理由を訪ねても、恐らくは「自分たちも、そうやって生きてきたから」という答えしか返ってこないのではないでしょうか。
「その目は死んでいる」とは、そんな自分の人生について考えるのを止め、責任をもつことをやめた態度を風刺した表現です。
若者へのメッセージ
大人たちに支配されるな
初めから そうあきらめてしまったら
僕らは何のために生まれたのか?
夢を見ることは時には孤独にもなるよ
誰もいない道を進むんだ
この世界は群れていても始まらない
Yesでいいのか?
サイレントマジョリティー
ここがサビであり、この歌で最も伝えたいメッセージの部分です。
「大人たちに支配されるな」という歌詞から、この歌の対象は、これからの未来を担う若者だと考えられます。
では、このメッセージを呼びかけているのは誰なのかというと、「僕らは」と言っているように、話者もまた同じ立場の若者なのです。
欅坂46では不動のセンターである平手友梨奈さんの発売前のブログによれば、このデビュー曲は当初「僕らの革命」というタイトルの予定だったそうです。
革命の旗手である「僕」が同じ年代の若者に呼びかけて、大きな動きを作っていく・・・この後の欅坂46の方向性はここで決まったと言っても良いかもしれません。
学校などの狭いコミュニティの中で、周りとは違う、やりたいことをやり、言いたいことを言うのは勇気のいることだと思います。
しかし、周りの意見に全て「Yes」とだけ答えて人生を送ることは、本当に生きていると言えるのでしょうか?この歌詞は、そんなメッセージを投げかけています。
「サイレントマジョリティー」とは何か?
言っていた(曲解して)
声を上げない者たちは
賛成していると…
選べることが大事なんだ
人に任せるな
行動しなければ
Noと伝わらない
2番の「大統領」は、恐らくベトナム戦争について、1969年に演説を行ったアメリカのリチャード・ニクソン大統領のことを指していると考えられます。この演説の中では「The Great Silent Majority」という言葉が使われています。
そもそもタイトルの「サイレントマジョリティー」とは何でしょうか?
これは「黙っている多数派」のことで、「Noisy Minority(騒々しい少数派)」と対比されることがあります。
一般的には【「No!」と声に出している人が目立つけれど、実はそれは少数派で、実際は何も言わない賛成はの方が大多数なのだ。】という文脈で、「Noisy Minority」を批判するような文脈で使われる事が多くあります。
ですが、これは権力者にとっては都合の良い理屈で、反対派の主張を「Minority(少数派)」と決めつけて(曲解して)、相手にしない口実にもできてしまいます。
現に、ニクソン大統領の演説では、ベトナム戦争に対する「反対」の声を挙げていた人達をこの論理で一蹴しています。
「選べることが大事なんだ」という歌詞は「大統領」という言葉と響き合って「選挙」を連想させますが、「選べる」というのは権力者を選べるという意味ではないでしょう。※結果的に、選挙の文脈にも噛み合う論理にはなってきますが。
これは、自分が権力者側にも「Noisy Minority」側にも「黙っている人は私の味方だ」と都合良く解釈され、結局は居ないのと同じように扱われてしまうこと自体を問題視しているのだと考えられます。
例えば、学校で先生が「みんなのためを思って、今後は○○というルールを作る」と提案したとします。その言い方には「ん?」と引っかかると思いますが、それに対して一人の生徒が「ちょっと待ってください、私たちみんな、そんなルールには反対です!」と意見を言い、その2人で激しく議論していたら「ちょっと、待って」となりませんか?
その場には他に多数の人がいるのに、居ない人のように置き去りにされています。どちらを選ぶかは、人それぞれに分かれるはずなのに、それを表明しない限りは、存在していないのと同じになってしまいます。
特に「No」と伝えることは勇気もいるし、エネルギーも使うことでしょう。ですが、多くの人がそのような自分の意志を表明する習慣がつけば、世界は今とは違う方向に進んでいくかもしれません。
「つまらない大人」にはなるな!
One of themに成り下がるな
ここにいる人の数だけ道はある
自分の夢の方に歩けばいい
見栄やプライドの鎖に繋がれたような
つまらない大人は置いて行け
さあ未来は君たちのためにある
No!と言いなよ!
サイレントマジョリティー
2サビと1サビでは少し言葉が変わっています。
「One of them」とは「その他大勢の中の一人」という意味で、居ても居なくても一緒と見なされてしまう存在です。そんな存在に成り下がるなと警告しています。
「見栄やプライドの鎖」とは「人の目を気にする呪縛」とも言い換えられるでしょう。
「つまらない大人」は1番で「目は死んでいる」と言われた人たちで、自分の人生を生きることを放棄した存在として描かれています。
この「つまらない大人」と「僕」の対立構造はこの後も長く欅坂46の曲のテーマであり続けます。
そんな人たちの言うことなんか気にせず、夢を追い続けよう!という、革命の旗手である「僕」からのメッセージです。
「僕」が同じ目線から語りかける瞬間
ついて行けば
傷つかないけど
その群れが
総意だと
ひとまとめにされる
曲調が変わり、「サイレントマジョリティー」になってしまっている人たちの心理と葛藤が描かれます。その根本は「傷つきたくない」という想いでしょう。どんな人間にもある自然な心情だと思います。
実は、ここまでの歌詞は「僕」の目線から見た力強いメッセージが描かれていましたが、ともすると気持ちの強い人からの一方的なエールだけにも感じられる歌詞でした。
そんな中、この部分があることによって「なんで声を挙げないのか理解できない」という立場ではなく、「そんな気持ちも分かるよ。だけど・・・」と、理解した上で励ましていることが伝わってきます。
この部分があってこそ、「サイレントマジョリティー」は多くの人の共感を得る歌としてヒットしたのではないでしょうか。
最後に
いかがだったでしょうか?
欅坂46のデビュー曲として、今後の歌の方向性にも大きな影響を与えた「サイレントマジョリティー」について考察してみました。
歌詞そのものについては分かりやすい部分が多かったので、今後の欅坂46の曲全体で見た時の位置づけなどについても触れてみました。
今でも、やはり欅坂46を代表する良い曲ですね。
みなさんの意見をお待ちしています。
長文をお読みくださりありがとうございました!
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