こんにちは!
合唱コンクールや卒業式で「BELIEVE」を歌うことになった生徒さんや、それを指導する先生方。
そんな風に感じていませんか?
私はこれまで、多くの学生に歌詞の意味を指導してきました。
なんとなく歌っていた最初と比べ、歌や作詞者の背景を知ったり、一つ一つの言葉の深い意味を検討したりした後では、歌う時の気持ちの込め方も全く違うものになります。
ぜひ、「Believe」の歌詞に込められた深い意味を知って、想いのこもった歌声を響かせましょう!
歌はこちらから聴けます。
ONTAでは「Chorus ONTA Vol.23」に収録されています。
基本情報と歌詞のポイント
小中学校を中心に幅広く歌われている「Believe」。
この曲は、作詞・作曲ともに杉本竜一さんが手がけています。
杉本竜一さんといえば他にも「Tomorrow」などの有名曲を多数作っています。
この「Believe」は1998年に初めてリリースされ、NHKの番組「生きもの地球紀行」の3代目のエンディングテーマとして使用されました。
「生きもの地球紀行」は、番組説明では【世界各地に未知の大自然を訪ね、そこに暮らす生きものたちの姿をスケール豊かに描く自然紀行番組。】となっており、スケールの大きな番組です。
また、オリジナルを歌っている「エンジェルスハーモニー」は番組スタッフを中心として3歳から80歳までの百数十名のメンバーだそうで、それらを踏まえると、この歌は個人的な想いだけでなく、様々な人、様々な国をつないでいくようなスケールの大きなものだと言えます。
また、この曲が載っている教科書「教育芸術社 小学生の音楽 5年生」には杉本竜一さんからの以下のメッセージが載っています。
これらを踏まえつつ、歌詞を見ていきましょう。
歌詞の流れに沿って情景をチェック
1番 いつでも近くで支えてあげる
たとえば君が 傷ついて
くじけそうに なった時は
かならず僕が そばにいて
ささえてあげるよ その肩を
世界中の 希望のせて
この地球は まわってる
いま未来の 扉を開けるとき
悲しみや 苦しみが
いつの日か 喜びに変わるだろう
I believe in future
信じてる
歌い出しから「君」が傷ついた時には、必ず「僕」が支えると力強う宣言しています。
この「君」は特定の誰かというよりは、友達・家族・過去の自分・一緒に合唱を歌う仲間・この歌を聴く人など様々な人たちを含むと考える方が良いでしょう。その方が、その後の「世界中の希望のせて この地球はまわってる」というスケールの大きさとも合います。
その後の「未来の扉を開ける」という表現も壮大な表現です。
明るい未来を想像できなくなっている「君」を励ます言葉とも捉えられますが、同時に、様々な問題も多くある地球全体の未来が明るいものになっていくことを信じるという言葉でもあるでしょう。
それらは別々のことではなくて、一人一人が身近な「君」の力になって、気持ちを明るくしていくことを積み重ねた結果が、地球全体の未来を明るくしていくというメッセージが感じられます。
2番 優しさは連鎖して広がっていく
もしも誰かが 君のそばで
泣きだしそうに なった時は
だまって 腕をとりながら
いっしょに歩いて くれるよね
世界中の やさしさで
この地球を つつみたい
いま素直な 気持ちになれるなら
憧れや 愛しさが
大空に はじけて耀(ひか)るだろう
I believe in future
信じてる
いま未来の 扉を開けるとき
I believe in future
信じてる
1番では「僕」が傷ついた「君」を支えるという出だしでしたが、2番では恐らく「僕」のおかげで立ち直った「君」が別の「誰か」を支えてくれるよね、とお願いしています。
そのように、誰かに支えられた誰かが、また別の誰かを支えていくという連鎖が「世界中のやさしさで この地球をつつみたい」という歌詞につながっていきます。
「いま素直な気持ちになれるなら」というところに作者の想いが込められていると思います。
「素直な気持ち」=「憧れ」「愛しさ」と繋がっているように、人間は皆、素直な心の根本には良い心があって、皆がシンプルに自分の心の声に従えば、やさしさの連鎖も広がっていくだろうというメッセージでしょう。
「I Believe in future」にはそんな人間の善性(根本の良い心)を信じているという想いもこもっていると思います。
授業で扱う場合(主な発問や展開)
これまで見てきたように「Believe」は具体的なストーリーよりも、メッセージ性のある表現がたくさんあります。
それは、様々な人への想いを込めて歌えるようになっているともいえるでしょう。
合唱の際には身近な大切な人である「君」を思い浮かべる視点と、同時に「地球全体」という大きな視点もイメージできると良いでしょう。
またタイトルの「Believe」が表しているものとして1番の「地球の未来」と2番の「人のやさしさ」といったところは押さえておきたいところです。
そのため、以下のような発問について、全員で色々と想像して、共有することで理解を深めながらも、一つのストーリーに絞るのではなく、自分にとっての相手と、メッセージを思い浮かべながら歌うような指導が良いと思います。
①自分にとっての「君」とは誰が浮かぶだろう?
②1番と2番では何が変わっているだろう?
③「Believe」という題名が表しているのは何だろう?何を信じているのだろう?
④合唱で歌うとき、誰にどんな思いを込めて歌う?
最後に
■音楽の授業は時数が少ないので、歌詞の意味までじっくりと扱うのは難しいと思いますが、先生の考えだけでも紹介してみてください。歌声も変わると思います。※このページをそのままコピーして配布していただいても構いません。
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